研究概要 |
近年の地球温暖化に代表される環境問題等への意識の高まりや,エネルギーおよび素材価格の高騰に伴い,超小型で高効率な熱エネルギー機器へのニーズが高まってきている.マイクロ化の主たる利点は,代表寸法の小型化による熱物質輸送の促進にあるが,このためには,マイクロチャネルにおける熱流動,特に様々な流量や熱流束条件での流動様式や伝熱機構に関する基礎的な理解と,それに基づいた高度な設計技術の構築が不可欠である.本研究では,0.5mm程度以下のマイクロチャネル内二相流の系統的な実験評価を行い,液スラブ後方に生じるミクロンオーダーの非定常な薄液膜挙動に及ぼす断面形状,寸法,乾き度,加速度,慣性力,表面張力,粘性力,濡れ性等の影響を明らかにすることを目的とする.速度と加速度の影響を独立に制御して評価するために,様々な断面形状のマイクロチャネル内に形成されたメニスカスを,ステッピングモータを利用して移動させることで,壁面上に形成される薄液膜の厚さ測定を行った.レーザー共焦点変位計を用いて液膜厚さをサブミクロンオーダーで精度良く測定した.今年度は,液膜厚さに及ぼす加速度の影響を明らかにした.得られたデータを整理し,キャピラリー数Ca,ウェーバー数We,レイノルズ数,および加速度で定義されたボンド数等の無次元パラメータを用いた無次元液膜厚さの予測式を提案した.
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