研究概要 |
固体微粒子添加による自励振動ヒートパイプ(PHPと略記)の性能向上を図るため,外径3mm,内径2mmの銅管を用いた12ターンのループ型PHPを製作し実験を行った。加熱部,断熱部,冷却部長さはそれぞれ50mm,90mm,50mmとし,銅管をUベンド加工することにより蛇行流路を形成した。6ターンの蛇行管2つを半ピッチずらして加熱板および冷却板に取り付け、2つの蛇行管を両端部で連結することにより、一方向循環流が発生可能なループ型とした。加熱量は最大1000Wとし、昨年度の非ループ型との比較を行った結果、作動媒体が水で加熱量が約500W以上では本年度のループ型の方が性能が優れることが分かった。また液封入率の影響を30%~70%の範囲で調べた結果、封入率50%が最も性能が優れることが分かった。添加する固体微粒子として、ダイヤモンド(8~20μm),銅(3μm,10μm),アルミナ(0.6μm,10μm)および銀ナノ粒子(0.1μm以下)を用いて実験を行った結果、アルミナ粒子では質量濃度5%付近、銅粒子および銀ナノ粒子では1%付近で最も性能が優れることが分かった。さらに壁温変動の測定を行った結果、粒子を加えない場合には振動が間欠的となる中程度の加熱量において、粒子添加により振動が連続的となり性能が向上することが分かった。以上の銅管製PHPの実験に加え,両端部を加熱,中央部を冷却した直線矩形流路中の1個の液柱の自励振動につき可視化を含む実験を行った。液柱両端の気体部分の圧力変化と液柱変位の関係から、圧力振動と液柱振動の位相差により仕事が発生していること、また液柱が加熱部から冷却部に向かう途中で蒸発速度が最大となり、これは残留液膜の蒸発の影響と考えられることが分かった。
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