研究概要 |
近年,二酸化炭素の排出が地球温暖化の観点から大きな問題となっている.二酸化炭素排出を抑制した社会,つまり低炭素社会の構築には,メタンや水素などの希薄燃焼を積極的に活用する必要がある.メタンや水素などの希薄燃焼では,火炎は不安定に成り易いことが知られている.それゆえ,メタンなどの火炎を安全に取り扱うためには,火炎不安定挙動のメカニズムを知り,それらを安全にかつスマートにコントロールする必要がある.メタンなどを燃料とするマルチマイクロフレームは,フラットフレームと比較して,燃焼範囲が広く,火炎が安定である.これらの火炎を,カオス時系列解析をベースとする燃焼診断手法を用いてコントロールすることは,非常に有用である.しかしながら,従来の手法は危険検出型であるので,必ずしも安全を確保することはできない.そこで,安全確認型の燃焼診断手法を開発し,それをフラットフレームやマルチマイクロフレームに適用する.そして,それらのフレームの特性を診断し,スマートコントロールする術を構築することが重要である. 本研究では,フラットバーナーとマルチマイクロバーナー上に火炎を形成させて実験を行い,両フレームの特性を調べる.そして,安全確認型の燃焼診断手法を適用し,スマートコントロールする術を明らかにする.フラットフレームやマルチマイクロフレームからの発光をフォトダイオードで受光し,その信号の波形はデータ収集装置を介して計算機に取り込む.パワースペクトルとアトラクターから,火炎の不安定挙動の特性を解析する.今年度は,フラットフレームとマルチマイクロフレームを用いて実験を遂行した.そして,発光強度の時系列,ゆらぎの強さ,ゆらぎのパワースペクトル,三次元空間に再構築したアトラクターを求め,両フレームの違いを考察した.加えて,安全を確保しながら燃焼させるための適切な条件を確定した.
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