研究概要 |
本研究は,水に熱伝導率の高いカーボンナノファイバー(CNF)を混合し,それを凍らせることにより熱伝導率の高い凍結層を生成して,時間当たりの凍結量を増加させることを目的としている.初期濃度C_0=1.0〜2.5wt%のCNF混合水を3種類の長さ(x_0=60, 90, 120mm)の円筒試験容器(内径d=28.2mm)に充填し,容器の端面を0℃,他の端面をT_w=-5〜-20℃に冷却して,生成された凍結高さを水のみの場合と比較した.また,凍結層のCNF濃度を測定し,凍結による掃き出し現象を調べた.その結果,以下のことが明らかとなった. 1. 初期濃度がC_0=1.0〜2.5wt%の混合水を凍結すると,凍結開始から5〜10hの間は,凍結高さは水のみの場合に比べて4〜6%増加する結果が得られた.このことより,CNF混合水は凍結促進効果があることが明らかとなった. 2. 凍結層内のCNF濃度C_iは,初期濃度C_0の約半分程度に減少することが測定され,掃き出し現象が生じていることが明らかとなった.掃き出されたCNFは未凍結水に取り込まれるため,試験容器長さを変化させて実験を行ったが,この傾向は変わらないことが分かった. 3. 初期濃度C_0が比較的大きい場合は,凍結高さが高くなると,掃き出し作用により未凍結水のCNF濃度が高くなるために,凍結界面へCNFが堆積して水分補給が妨げられ,凍結が抑制される傾向が観察された.この結果より,凍結を促進させるためには水とナノファイバーの混合割合に最適値が存在することが明らかとなった.
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