研究概要 |
1.水に熱伝導率の高いカーボンナノファイバー(CNF)を0.86~2.34wt%の範囲で混合し,それを凍らせることにより見かけの熱伝導率が高い凍結層を生成して,時間当たりの凍結量を増加させることを目的としている.円筒容器(直径28.2mm,長さ60~120mm)の端面を0℃に保ち,もう一方の端面を-5~-20℃に冷却して凍結実験を行った結果,以下のことが明らかになった. (1)CNF混合水においては,凍結初期はCNFを掃き出す現象が生じ凍結層内のCNF濃度が減少するが,凍結進行に伴い掃き出されたCNFにより未凍結液のCNF濃度が増加するため,凍結後半においてはその影響を受けて凍結層内のCNF濃度が増加する. (2)CNF凍結層の氷中濃度を解析的に検討した結果,氷中濃度はCNF混合水の初期濃度と凍結試験容器長さのみに影響され,凍結温度の影響は小さいことを示し,氷中濃度分布の実験整理式を提案した. 2.生成した凍結層はCNFを混合しているため,その融解特性を明らかにすることを目的として矩形容器内のCNF混合氷(初期濃度0.15~4.21wt%)の融解実験を行った結果,以下のことが明らかになった. (1)同一温度条件での融解実験において,凍結層のCNF初期濃度が大きくなると,自然対流が生じにくくなり融解量の時間変化が小さくなる. (2)CNF混合氷を融解すると,融解液にCNFが含まれるため見かけの粘性が増加し,その結果,自然対流が生じにくくなって,真水の氷を融解する場合と比較して凍結量が減少する.
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