研究概要 |
近年,ディーゼル車の排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM)の対策として,ディーゼル微粒子除去フィルター(DPF)が開発された.しかし,PMが捕集されると次第に排気圧力が増大して燃費が悪化し,最悪の場合エンジン停止に至る可能性がある.特に,捕集されたPMを焼却除去するフィルターの再生過程が必要であるが,内部の現象を計測することができないため,PMの吸着過程や吸着した粒子の燃焼過程が不明であった.本研究では,数値シミュレーションにより現象を予測し,フィルターの再生過程を直接検討することを目的としている.特に,フィルター(固相)と排気ガス(気相)を連成問題として扱うことにより現象を解析する新しい試みを行う.これにより,実験と数値解析を融合させた効率的なフィルターの開発が可能となり,PM処理技術の今後の改善が期待できる. 全体の研究期間としては3年(平成20年度〜22年度)を予定しており,各課題を計画的に進めている.初年度の20年度では,まず,現象をモデル化し,気相と固相を記述する解析コードを構築した.具体的には,気相を格子ボルツマン法により,固相を熱伝導方程式により別々に解き,気相と固相の界面を境界条件により連成させる手法を新たに開発した.次に,既存のフィルターの素材をX線CT法により分析し,提案している解析コードを実際のフィルターに適用することで,必要な計算時間やコードの改良点について検討した.また,検証実験を行うための実験装置と計測システムを構築している.
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