臨界点よりも圧力や温度が低く、装置の強度や腐食の問題が少ない過熱蒸気条件(圧力1-10MPa、温度200-400℃)での湿式燃焼について研究を行った。燃料であるエタノール水溶液中に酸化剤気体を噴射する方式から過熱水蒸気中で酸化剤と燃料を混合して反応させる方式とし、燃焼装置を製作し、高温水蒸気中でのエタノール燃焼反応の反応速度を調べた。その結果、過熱水蒸気条件での反応速度はほぼ同じ温度の超臨界条件での反応速度と同程度であることが明らかとなった。これは、圧力を低減して、安全性、装置コストを低減しながら超臨界状態と同じ程度の高速な反応を起こすことができることを意味しており、本研究の重要な成果である。また、アセトアルデハイド、酢酸、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、エタンの濃度を反応時間毎に測定し、エタノールからアセトアルデハイドと酢酸に至る反応が並行して起きること、その後それらが分解して、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、エタンが生成することが明らかとなった。これらの成果は第48回燃焼シンポジウムで口頭発表され、Journal of Thermal Science and Technologyに査読付論文として掲載された。また、酸化型亜臨界水処理装置について企業と特許を出願した。
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