研究概要 |
1. PDPAで測定対象の水滴が真球から回転楕円体に変形すると,受光窓面上に形成される干渉縞は傾き,かつ,ある程度湾曲するものの,規則的な縞模様である.信号処理器を模擬した解析を行うと,姿勢に関わらず何らかの粒径が出力される.但し,縞模様の間隔は,姿勢によって変化する.鉛直方向速度成分を検出する設定である場合,回転楕円体の回転軸の天頂角が観測径に顕著に影響し,方位角が及ぼす影響は相対的に小さい.天頂角が0°の場合が最も大きく観測され,観測径は回転楕円体の最大曲率半径の2倍にほぼ一致し,長軸径よりも大きく観測される.天頂角が大きくなるにつれて観測径は小さくなり,天頂角が90°に近い場合には,方位角によっては観測径が短軸径より小さくなることもある. 2. 同じくPDPAにおいて,真球水滴の表面に周期的な波打ちが現れた場合の受光窓面上の干渉縞を予測すると,周期が短く,波高が高いほど干渉縞が乱れ,波高が粒径の数%程度になってやっと規則的な干渉縞になることが分かった.さらに,一見規則的な干渉縞に見えても,3つの受光窓での信号間の位相差比の異常が検出され,観測径が出力されなかった. 3. フラウンホーファー回折を利用した噴霧液滴群の粒度分布計測に数密度が及ぼす影響の検討に関して,前段階として固体粒子群の場合の検討を行い,粒子数密度が上がると粒度分布が小径側にずれるという実験での傾向を計算電磁気学で予測できることを確認した. 4. 多重散乱の問題はふく射伝熱にも関係するため,電磁場解析の結果からふく射強度を評価する方法と,ふく射伝熱の問題にアプローチする新しい方法を提案した.
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