研究概要 |
1. PDPAで測定対象の水滴が葉巻型回転楕円体に変形すると,50°を越える睨み角では,長軸と天頂角と方位角のいずれが変化しても評価径はかなり揺らぐ.しかし,睨み角を20°ないし30°と小さくすると,方位角変化は評価径にほとんど影響を及ぼさなくなる. 2. 方位角を変えたときの評価径の変化の仕方が非常に不規則であることから,評価径の揺らぎの原因は,屈折透過光の光路長が姿勢変化によって変化するからではなく,受光窓での外面反射光の影響が強まったり弱まったりするからと考えられる.真球形の水滴でも睨み角が89°程度になると外面反射光の影響が出ることが知られていたが,回転楕円体形に水滴では,それより小さい睨み角で評価径の揺らぎをもたらす. 3. 真球水滴の表面に周期的が波打ちが現れた場合については,前年度の検討よりもさらに僅かな波打ちして検討を行ったが,PDPAによる滴径測定は液滴表面の凹凸には極めて弱いことが分かった. 4. PDPAにおいて,回転楕円体液滴が回転することで滴径計測が不可能になるには,極めて高速な回転が必要であり,液滴が分裂してしまうであろうことが分かった. 5. フラウンホーファー回折を用いた粒度分布測定法を透明散乱体群に適用すると,多重散乱の影響の現れ方が不透明散乱体の場合とはかなり異なる. 6. 散乱体群による散乱係数は従来は予測不可能であったが,計算電磁気学を用いて予測することができた.散乱係数は粒子1個のサイズと数密度の両方に依存するが,ある整理の仕方をすると,1本の曲線で表現できる. 7. 散乱体の数密度が高く多重散乱効果が強い場合には,従来からある輻射伝熱計算法において,計算セルの散乱特性として多重散乱を考慮した散乱係数と多重散乱を考慮した位相関数を使用しても,広い領域全体の散乱特性を精度良く計算できないことが,広い領域を直接に計算電磁気学で扱った場合との比較で明らかになった.
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