研究概要 |
1. フラウンホーファー回折を用いた粒度分布測定法を不透明球形粒子に適用すると,センサー面における単位リング幅当たりの散乱光エネルギーのピークが現れる散乱角度が粒子径に反比例するのに対して,水滴のような透明球形粒子でかつ粒子径が小さい間はそのような規則的な関係は成立しない,但し,透明球形粒子の場合でも粒子径がレーザーの波長の20倍を超えるようになると,不透明球形粒子の場合と同様の関係が成立するようになる.すなわち,フラウンホーファー回折を用いた粒度分布測定法を噴霧測定に適用する場合には,測定対象はあまり小さい液滴を含まないものに限定される. 2. フラウンホーファー回折を用いた粒度分布測定法において,測定対象が同転楕円体形状の不透明粒子である場合には,たとえ全粒子が同一形状であったとしても,種々の姿勢を取ることで,粒度分布を有するように観測される.観測される散乱パターンは対数正規分布形の粒度分布を有する球形粒子群によるものと良く似ており,回転楕円体のアスペクト比が大きいほど,計測装置では粒度分布が大きいと認識される. 3. PDPAで測定対象の水滴が円盤型回転楕円体に変形すると,葉巻型回転楕円体に変形する場合に比べて受光窓面上の干渉縞が不規則な形になりやすく,信号処理の結果得られる観測径の揺らぎも大きくなる,4.散乱体群による散乱係数は,単位断面積中に存在する散乱体の総散乱幅が分かれば推測できる.前年度においては,散乱体のサイズが揃っている場合についてのみの確認にあったが,2種,3種のサイズのものが混在している場合や,対数正規分布に従う場合でも推測法が有効であることを確認した.
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