研究概要 |
水平円柱及び水平平板発熱体におけるヘリウムガスの強制対流非定常(過渡)熱伝達について実験的に調べ,発熱率上昇周期,ガス流速などの影響を考察した。平板白金発熱体の厚さは0.1mm,指数関数状上昇する熱入力の周期は50msから17s,流速は4m/sから10m/s,温度は290Kから353Kまでの範囲である。熱伝達係数は流速が速くなるにつれて増加することが解った。また,発熱率上昇周期が約1秒に存在する遷移領域をはさみ,準定常と非定常の二つの熱伝達過程に分けることが解った。発熱率上昇周期が早い領域すなわち約1秒の周期(e-fold時間)より短い領域では,伝導伝熱が支配的になり発熱率上昇周期が短くなるに従い熱伝達係数が増加し,周期が約1s以上の定常熱伝達領域においては,対流と伝導伝熱の両方に影響され,熱伝達係数がほぼ一定の値になる。そして,周期が短くなるにつれて過度熱伝達に対するレイノルズ数の影響が弱くなることを示した。実験データに基づいて,準定常熱伝達及び過渡熱伝達の実験式を求めた。 理論解析では,k-εモデルを本研究対象に適用し,流体における連続の式,運動方程式,エネルギー式といった基礎方程式,固体領域におけるエネルギー式,及び境界条件を二次元座標系において連立させ,発熱体内部の発熱率(Q^^・=Q_O exp(t/τ))が種々の上昇周期で指数関数状に上昇する際の強制対流非定常熱伝達の数値解析を行った。解析の範囲は実験範囲と同様である。流速が6m/sでは,平板における数値解析解と実験データとよく一致しているが,しかし,その他の流速では,相違が少し大きくなる。一方,円柱の場合,直径1mmでは,実験値とよく一致していることが解った。今後解析範囲を広げ,発熱体表面境界層における流速分布,温度分布を解明する予定である。
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