研究概要 |
水平平板発熱体におけるヘリウムガスの強制対流非定常(過渡)熱伝達について実験的に調べ,ヘリウムガスの系圧力と温度の影響を考察した。実験は,系圧力が400kPaから800kPaまで,指数関数状上昇する熱入力の周期が50msから17s,流速が4m/sから10m/s,温度が290Kから353Kまでの範囲で行った。圧力が400kPaから800kPaまで高くなることにより密度等の物性値が顕著に変化し,熱伝達係数はそれに伴って5C%増加することが解った。また,温度が290Kから353Kまでに上昇した場合,4%から12%まで熱伝達係数は増加した。種々圧力・温度条件下の実験データに基づいて,準定常熱伝達及び過渡熱伝達の実験式を求めた。一方,発熱体の形状による影響を調べるため,ねじり発熱体を製作し,ねじり角度を90°とした場合の実験データを取得した。実験データよりねじり発熱体の伝熱促進効果が判明した。 理論解析では,κ-εモデルを本研究対象に適用し,発熱体内部の発熱率(Q=Q_oexp(t/τ))が種々の上昇周期で指数関数状に上昇する際の強制対流非定常熱伝達の数値解析を行った。解析の範囲は実験範囲と同様である。流速が6m/sでは,平板における数値解析解と実験データとよく一致しているが,しかし,その他の流速では,相違が少し大きくなる。また,発熱体表面における流速分布及び温度分布を数値解析した。解析結果より発熱体の表面温度は時間と共に急激に増加していることが解った。今後発熱上昇周期の影響やねじり発熱体近傍の流速及び温度分布などを解析し,その非定常過程の熱伝達メカニズムを解明する予定である。
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