研究概要 |
本研究では,火炎伝ぱにより圧縮される未燃予混合ガスでの自着火発生メカニズムならびにスス生成メカニズムを詳細に把握することを目的としている.ここでは,圧力振動を伴うHCCI燃焼を再現した.HCCI燃焼時における中間生成物であるOH/HCHOの生成・消滅過程を紫外~可視光吸収法により計測した.また,最終生成物であるCO_2の生成過程を赤外吸収法により調査した.これにより,以下の知見を得た.(1)HCCI燃焼における輝炎もまた火花点火機関におけるノッキング同様,圧力波によるピストン頂面近傍の未燃の燃料や不純物の剥離・燃焼によるものであると考えられる.(2)HITRANデータベースによりHCHOの吸収スペクトルの同定を行なった.(3)低温酸化反応時期からHCHOは生成し,熱着火準備期間で消費している.逆にOHは熱着火準備期間から生成され,熱着火で最大値を示し,その後消費されている.(4)最終生成物であるCO_2は熱着火により生成されている. また,水素を燃料として同様の機関により自着火を発生させ,ノッキング時に生じる発光スペクトルを計測し,自着火部における燃焼過程を調査した.これにより,以下の知見を得た.(1)ノッキング強度が高い場合,初期圧力波伝播速度も早くなる.(2)圧力波の伝播周期は,振動の第1モードと代2モードが混在している.(3)自着火部における発光スペクトルより,自着火により境界層にある潤滑油が燃焼し,輝炎を発生していることがわかった.この潤滑油の燃焼がスス生成に影響を与えている.
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