研究概要 |
様々な物質において,液滴核生成,気泡核生成を行うプログラムを一部作成し,一部の計算を実行した. (1)液滴核生成 平成20年度は既に行っていた水,Lennard-Jones流体以外の物質として,水+硫酸,水+硫酸イオンについて,様々な条件(温度・過飽和度)において,液滴核生成の計算を行い,核生成速度,臨界核,核生成の自由エネルギーを計算した.具体的には高温で計算すべき密度条件で平衡化を行い,その後,核生成がおこる温度領域へ急冷し核生成が起るまでまった.核生成が起りクラスターが生成してくることが観察し,単位時間単位体積あたりにできる臨界核を超えるクラスターの数をカウントすることにより,核生成速度を算出した.また,各クラスターサイズにおいて,クラスターサイズの増減を計算することにより,臨界核を計算した.また,核生成の自由エネルギーの計算も行った.この結果はJ. Chem. Phys.に投稿し,採択・掲載された. (2)気泡核生成 既存の核生成速度の計算方法は気泡生成までの待ち時間を計測することで核生成速度を算出しているが,本研究においては,Lennard-Jones流体について初期条件を変えて20回のシミュレーションを行うことでより正確な核生成速度の計算を可能にする方法を導入した.臨界核および核生成の自由エネルギーについては液滴核生成のシミュレーションと同様の方法で計算を行った.具体的な計算方法は,計算を行いたい温度で平衡化し,瞬間的に体積を広げることで負圧条件である気泡生成条件を実現した.気泡が生成した後に,圧力が上がるところを観察し,核生成の待ち時間を測定した.待ち時間を平均し,待ち時間の逆数から核生成速度を見積った.
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