研究概要 |
本研究では,水素を燃料電池に供給するためのアンモニアのエネルギーキャリアとして,尿素の可能性を検討し,有望なエネルギー源になりえることを示した。 尿素エネルギーシステムでは,水素やその他の代替エネルギーと比較してエネルギーの保存が低コストで可能であり,回収された二酸化炭素をエネルギーとして保管することも可能なため大気中の二酸化炭素濃度低減手法としても有望なシステムである。 本論文では,尿素を再生可能エネルギー(人体や家畜)から取り出すためのシステム計算を行った。 さらに,下水道から,透析膜や高分子尿素吸着剤などによる尿素回収率およびエネルギー収支計算を行い,燃焼熱,電気分解エネルギー,ウレアーゼ等による化学エネルギーによる尿素からアンモニア転換効率の比較を行った。 その結果,尿素→アンモニア→水素までの一連の改質試験確認および燃料電池等への供給を行うことができる実際のエネルギー発生装置を設計する際の有用な以下の知見が得られた。 人体や家畜から透析膜や高分子尿素吸着剤等による回収方法やシステム計算結果より,尿素を再生可能な代替エネルギーとしての可能性を確認した。また,尿素からアンモニアを発生させるための最適化実験を実施し,ウレアーゼを触媒とした60℃での条件が最も有効なアンモニアの発生条件として確認された。
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