研究概要 |
本研究では,水素を燃料電池に供給するためのアンモニアのエネルギーキャリアとして,尿素の可能性を検討し,有望なエネルギー源になりえることを示した。尿素エネルギーシステムでは,水素やその他の代替エネルギーと比較してエネルギーの保存が低コストで可能であり,回収された二酸化炭素をエネルギーとして保管することも可能なため大気中の二酸化炭素濃度低減手法としても有望なシステムである。 本研究では,アンモニア分解水素生成システムにおけるニッケル触媒とルテニウム触媒の分解効率の違いと,電気加熱式ハニカム触媒のアンモニア分解への有効性を検討し,以下の結論を得た。(1)低温でのアンモニア分解に有効な触媒はルテニウム触媒である。(2)電気加熱式ハニカム触媒を用いてアンモニア分解を行った結果,ヒーター部温度650℃以上で残留アンモニア濃度が0%となり,アンモニア分解に有効であることが確認できた。(3)尿素を代替燃料として使用する尿素エネルギーシステムの可能性を確認した。(4)尿素からNH3を発生させる最適条件は,最大分解時でウレアーゼを触媒とした尿素水5wt%で40℃である。(5)上の条件では尿素水溶液中の残留NH3を回収することにより,より高密度のNH3の活用が期待される。
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