研究概要 |
1.分割セルを用いた特性診断法の確立 一枚の電池内の劣化分布を測定するため,4分割電極と高速切り替え装置を試作し実験を行った結果,高速切り替え装置を用いた場合最初の分割部から最後の分割部までの測定に数秒要することと,各分割電極での測定においてOCVと負荷状態を繰り返すために,各分割電極間の関連性を維持することが難しいことが分かった.そこで,4台の特性診断器を用いて同時に測定できるように改良を行った.その結果.電流掃引法では各分割電極における内部抵抗の差によって過渡応答が大きく影響を受けること.電流を掃引する際に実際の電極内の電流密度分布を反映できないことなどの問題点を抽出することができた.そこで,特性診断アルゴリズムをこれらの影響を受けない電流遮断法に切り替えることに方針転換した. 2.電流掃引法と電流遮断法による診断パラメータの適合性の検証 電池温度,電流密度,アノード,カソード供給ガス流量,強制プランギング実験を行った結果,A1,t1,A2パラメータに関しては電流掃引法と電流遮断法による違いは見られなかった.しかし,t2,A3,t3パラメータでは振る舞いが少し異なることが分かった.現在,これらのパラメータに関して追実験を行い検証中である.さらに,電流遮断法への変更によって第1回路に相当するA1,t1パラメータへのノイズによる影響が多くなったが,データ取り込み周波数の変更とデータ整理アルゴリズムの変更によりノイズの影響を抑えることができた.これにより他のパラメータの精度も向上したため,上記のt2,A3,t3パラメータの違いが浮き彫りになってきたと考える.これらの検証はH22年度の実証する予定である. また,電流遮断法に変更することで4分割電極における内部抵抗差の影響がないことも確認でき,かつ,実際の電池の電流密度分布も反映された状態で測定できることも確認できた. H22年度では,上記のt2,A3,t3パラメータの各分極との同定を行った後に,計画していた電極面内の劣化分布測定について実施て行く予定である.
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