研究概要 |
1.電流遮断法における特性診断法の等価回路の検証 過渡応答の採取方法を電流掃引法から電流遮断法へ変更したことにより,特性診断式とフィッティング方法の変更を行い,交流インピーダンス法と比較することで,各パラメータの物理的意味の件用も行った.その結果,膜の乾燥/湿潤状態やセパレーター,ガス拡散層などの接触抵抗を示すパラメータの同定はできた.しかし,各極の拡散分極や活性化分極が第2,第3回路に関係することは交流インピーダンス法の結果からも確認できたが,第2,第3回路に起因するパラメータと各極の各分極に一対一対応させることはできなかった.この要因として,これまでの診断方法であった3つのRC回路の組み合わせでは誤差が大きくなり,両方の回路のパラメータに同時に影響が出ることが分かった.そこで現在,RC回路を1つもしくは2つの等価回路へ変更して各種分極の影響を判断するパラメータの同定を再検討している.これまでの結果では,アノードに関わる分極の影響はほとんど診断パラメータに出ることは無く,PEFCの反応を律速しているカソード側の拡散分極や活性化分極が等価回路を一つにした時の各パラメータで診断できそうであることを確かめている.今後,その精度について各種分極を模擬した実験条件で検証していく予定である. 2.分割セルを用いた同一電極内の劣化要因分布 流れ方向に4分割した電池を用いて特性診断を行った結果,水素や酸素が無くなる下流域部分では第2,第3回路に起因するパラメータが大きくなり,逆に膜の湿潤が良好になる第1回路に起因するパラメータは小さくなったことから,上記の精度を増せば十分に劣化要因分布を明らかにできることは示唆でき,今後,上記診断法が確立されたのちに劣化分布について検証する.
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