研究概要 |
実際の疲労クラックの特性を代替できる実験検証用模擬クラック軸を作成し,実験によりその有効性と限界を調べた.また,その特性を精度良く表わす理論モデルを構築し,実証した. (1)模擬オープンクラック軸(厚さ約0.2mmの放電加工溝)を作成した.同じ長さ,同じ太さの軸に対して,様々な深さ・位置でクラックを入れたものを合計6本作成した. (2)オープンクラック軸の有限要素ロータモデルを構築した.クラック部については,未知パラメータを含むがクラックの周囲部に与える影響も含めたモデリング法を導入した. (3)1つのクラック軸を用いて打突試験を行い,得られた固有振動数を用いて,上記(2)の未知パラメータ値を収束計算により決定した.このパラメータ値を用いたクラック軸モデルにより得られた理論計算結果は,その他のクラック軸の場合でも実験結果と高精度で一致し,構築したオープンクラックロータモデルの妥当性を検証できた. (4)上記(3)で得られた未知パラメータ値は,軸の太さは同じで軸の長さがある程度異なる場合でも有効であることを実験により確認した. (5)構築したオープンクラック軸の回転中の固有振動解析手法を構築した.回転中の打突試験により得られる固有振動数の実験データと理論解析結果を比較し,それらがほとんど一致することを示し,構築した解析手法の妥当性を示した. (6)構築したオープンクラック軸の有限要素モデルを用いた周波数応答曲線を求め,クラックに起因する振幅ピークの発生周波数を予測した.それが実験結果と一致することを確かめ,構築したオープンクラック軸の有限要素モデルの妥当性を確認できた.
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