研究概要 |
抄紙機や繊維機械では,長時間の接触回転の結果,ロールや糸玉表面に周期的変形が生じて製品不良や寿命低下を引き起こす『パターン形成現象』が発生し問題となっている.抄紙機のように粘弾性変形をともなうパターン形成現象の防止対策として,これまで外部減衰の付与,回転数変動および動吸振器装着による抑制技術を理論および実験の両面から検討した.そこで,本年度は,一対のロールゴムがともに変形する場合のロール直径比の影響を確認するため,ロール回転数やロールの直径を様々に変更し,パターン形成現象を抑制する設計法について,理論および実験の両面から検討を行った.さらに新たな取り組みとして,可変剛性型動吸振器による制振対策について検討した.その結果を以下に示す. 1.両ロールがともに整数角形にならないような直径比とロール回転数を設定することで,パターン形成現象を抑制可能であることがわかった. 2.ロール直径比の組み合わせによっては,固有振動数の変動に関するロバスト性に富むロール直径比が存在することがわかった. 3.可変剛性型動吸振器を用いることにより,可動部質量の1%程度の動吸振器で,防止・遅延効果があることがわかった. これらの成果は,日本機械学会機械力学・計測制御部門講演会であるD&D Conf.2010(京都)においてロール直径比の影響を,また,および日本機械学会中国四国支部・九州支部合同企画(徳島講演会)において可変剛性型動吸振器の影響について研究発表を行った.
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