研究概要 |
初年度である2008年度は,エアターンバーで支持された柔軟ウェブに発生する自励振動の振動特性を実験により明らかにするために実験装置と振動計測システムを構築した.柔軟ウェブとして幅30mm,厚さ16μmのPETフィルムを用いて実験を行った.エアターンバーは直径300mmと100mmの2つを使用した.パラメーメータとして張力と空気流量を変化させて,ウェブの浮上変位および振動変位を多点計測することで,ウェブの浮上特性と振動特性を調べた.実験により,空気流量を増加させて行くとフィルムに自励振動が発生すること,また自励振動が発生する臨界流量が存在することを確認した.また,エアターンバーで支持されたフィルムには,フィルムの面外方向に高い振動数で振動する自励振動と,フィルム送り方向であるMD方向にスライドするように振動する自励振動の2つのタイプの自励振動が発生することを明らかにした.特に,フィルムの面外方向に高い振動数で振動する自励振動は,大きな騒音を伴って低流量で発生することを明らかにした.これらの得られた知見は,これまでに明らかにされていなかった自励振動の特性を明確にするものであり,励振メカニズム解明と振動抑止手法確立のために重要な知見である.さらに,実験で得た振動特性と現象の支配因子の知見を基に,フィルムの振動とすきま流れが連成する流体・構造連成解析モデルを構築した.これらの研究の成果は,研究目的の達成のために重要な成果であり,当初の研究実施計画に沿って研究が進められた.
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