研究概要 |
本研究の目的は,微小物体をハンドリングすることを想定したマイクロピンセットを製作することである.具体的には,サブミリサイズの物体の把持・操作に用いるための力覚を提示できるマイクロピンセットの製作と,操作者へ力覚の提示を行うマスタースレーブ型制御システムを構築することである.このような場合,微小物体を把持した場合の把持力と把持位置の推定手法とその精度が大きな課題となる. 昨年度の研究では,H形スリットを持つ平行はりを用いることにより微小物体の把持位置情報と把持力の検出が可能となることを示した.しかし平行はり構造の変形機構に由来する力の検知手法を採っていることから,平行となる2枚のはり間距離が狭い場合には影響除去が難しかった.そこで本年度は,この問題解決のための新たな測定手法を提案した.本手法は,まず荷重位置の影響を受けた力の校正曲線をとり,その校正曲線における荷重位置と発生ひずみ値の関係式を計算ソフトのカーブフィッティング機能によって求める.そのうえで,この関係式より校正曲線に表れた偶力による偏差を補正値として算出し,測定荷重より除くことでより精度の高い実荷重を知るものである. しかし,平行平板はり構造を採ると形状が大きくなるとともに複雑となるという課題が残っていた.このことは,微小物体の把持を想定したマイクロハンドの製作においては大きなハンディとなる.そこで構造の簡単な,またその形状を小さくできる,切り欠きを持つ単板はり構造に着目をした.この測定手法は,2個の切り欠きを持つ単板はりの一端を固定端としたうえで自由端となる把持指に荷重をした場合,その荷重位置と各切り欠き部における応力の関係式から,荷重位置と実荷重を求めるというものである. これらの成果については特許出願中で,その作業終了後に学術誌論文および学会発表として成果を公表する.
|