研究概要 |
本申請課題では,肢体不自由者の飲料物啜り飲み動作に対する適切な介助動作の究明を行い,飲料物のハンドリングシステムを確立することを目的としている.これまでの解析において,滑らかな啜り飲み介助のためには,被介護者の頭部の動きが重要であることが見出されており,カップと頭部の傾き角度の相関性は高くなっている.また,熟練介護士の介助動作について調べた結果,カップと被介護者の口との接触力はやや強めにする傾向があり,押し付け力を保持した上で,カップを傾けて啜り飲み介助を行っている.以上を踏まえた上で,飲料物ハンドリングロボットについて検討した結果,(a)被介護者の頭部の動きに合わせるため,カップは微細な傾き操作が可能であること,(b)カップと被介護者の口との接触力を保持できる機構を有すること,(c)被介護者自身が飲む量を調節できることの3点に的を絞り,製作の指針を固めた.ここでは,まずUSBカメラで被介護者の顔の様子を捉えて,画像処理を行い,口の開閉動作ならびに顔の向きによりマニピュレータの制御が可能なシステムを構築した.口の画像を二値化することで,ある一定以上の面積になった場合,被介護者が飲料物を求めていると見なした.一方,顔の傾きに応じてカップの傾きを制御するために,被介護者の顔画像から鼻孔面積を算出し,顔の傾きの検出法を確立した.検証実験を行った結果,すべての被験者に対して顔の傾き検出が可能であり,提案手法の有効性が示された.
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