研究概要 |
本研究者らは,構造が簡単で,小さなひずみで大きな反射角度が得られ,可動部品に磨耗が生じないという優れた特長を原理的に有する光スイッチを提案している.本研究は,その原理に基づく多入出力光スイッチを容易に製造する方法を明らかにすることを目的とし,本年度は次のことを行った. (1) 駆動信号の改良による配線数の低減 光スイッチ基板上の配線数を低減するために,平成20年度に使用した駆動信号を改良し,同年度に試作した1入力8出力光スイッチに適用して,動作を調べた.その結果,駆動信号の改良によって配線数を低減可能であることが分かった.しかし部品製作・組み立て作業で問題が生じて,光スイッチの追加製作ができず,再現性を確認するに至らなかった.そのため,今後は製作容易性を向上させ,再現性を確認する必要がある. (2) 薄膜ミラーと基板との位置合わせ方法の変更 平成21年度に設計・評価した一体化基板の製造プロセスは,産業界で利用されている設備があれば十分実用的と考えている.しかし,本課題で現在利用可能な設備では,製膜した透明電極膜上に犠牲層をスパッタ製膜する工程が部品製作の歩留まりを低下させている可能性がある.そこで,別々の工程で作製した薄膜ミラーと基板とを容易に位置合わせする方法を試みた.その結果,部品製作の歩留まりを向上させ,且つ,容易に薄膜ミラーと基板とを位置合わせすることができるようになった.しかし,上記(1)の問題解決には至っておらず,さらに製作容易性を改善する必要がある. (3) 多入力光スイッチの設計 上記(1)で改良した駆動信号を多入力光スイッチで評価するために,多入力光スイッチ用の基板を新しく設計した.
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