研究概要 |
形状記憶合金ワイヤは通電による加熱および空冷による冷却によって,その力学特性が大きく変化する.本研究で扱う可変形状トラスはこのような形状記憶合金ワイヤをアクチュエータとして用いている多自由度メカニズムである. 本年度は,このような機械システムの動力学的特性の観点から,以下のような点について研究を行った. 1.形状記憶合金ワイヤの過渡特性のモデル化 2.そのような過渡特性を勘案した運動方程式の定式化 3.動力学シミュレーションによる動特性評価 4.二次元試作システムによる動作実験による振動特性の観測 1~3による動力学シミュレーションの結果,形状記憶合金の高温状態での剛性が動特性に大きな影響を持つことが示された.また,トポロジの違いが与える影響も大きく,これらの動特性を考慮した形状記憶合金ワイヤ部材の配置が重要であることも示唆された. 4の実験の結果はまだ基礎的なものであり,定量的な評価までは至っていないが,過渡的な応答とシステム全体の動特性について興味深い結果が得られている. また,まだ動作実験は行っていないが,本年度は3次元可変形状トラスの実験システムの試作も行った.
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