研究概要 |
本年度は最終年度であり,形状記憶合金ワイヤ駆動可変形状トラスについてこれまでの研究成果を踏まえた多面的な検討を行った. 三次元試作システムについては節点部の構成について再検討を行った.形状記憶合金ワイヤ駆動可変形状トラスは多段構成にすることにより有意な幾何形状可変動作が可能となるが,一段あたりの形状変化は比較的小さなものである.そこで,現状の球面ジョイント様式のものではなく,弾性変形によるものを考案し,基本設計を行った.しかしながら,試作まで行うことはできなかった. このような幾何形状可変メカニズムの利用に際しては,いわゆる逆運動学問題を解くことによる動作生成が重要である,本研究のメカニズムではアクチュエータとして形状記憶合金を用いていることから.一般のメカニズムとは異なり,過去の経歴への依存を考慮した逆運動学の取扱いが必要となる.この問題に対し,力学条件を考慮した問題の定式化を行い,遺伝的アルゴリズムによる解法を示した. 形状記憶合金ワイヤ駆動可変形状トラスの適用分野についても運動学シミュレーションおよび動力学シミュレーションの結果にもとづき検討を行った.形状記憶合金のもつ制振性能や,通常のアクチュエータとは異なり潤滑が不要であること,オープンループな制御が可能であるが,そのままでは精密な制御は行えないこと等から,宇宙構造物とマイクロメカニズムへの適用について検討を行った. 本研究全体を通じ,形状記憶合金ワイヤ駆動可変形状トラスはたしかに実現可能であり,様々な興味深い特性を持っていることが確認された.
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