研究概要 |
本研究では,手動制御系インタフェース操作時における使用者の動作を推定し,迅速且つ正確,安全にその動作を完了するための支援方法を検討することを目的としている.そのために,まず使用者に負担を掛けずに生体情報を取得すること,またユーザの用いる手動制御系や表示系操作時に取得した生体情報を用いて予測・推定する技術の構築,の2点を主な検討事項とした.本年度は計測対象者の負担を軽減するためのセンシングの課題に取り組むこととし,高感度な磁界センサを利用し,より高精度に,且つ衣服の上から完全な非接触で筋の活動の状態を把握する技術を開発することを目指した.結果として,衣類上からある程度の活動を捉えることに成功し,特許取得にまでは至った.しかし,実際の応用時を想定した場合,優れた防磁性を示すパーマロイ鋼を用いても他の電子機器によるノイズを受けやすいなどいくつかの課題が残った.そこで,計測対象者の負担を軽減するためのセンシング技術の開発と並行し,筋活動以外の生体信号を用いて動作精度をある程度推定することが可能か,動作精度推定技術における新たな提案として検討した,実際には脳波を用い,動作の開始前に現れ,その後の行われる動作の動作計画を示すとされる運動関連電位(MRCP:Movement・RelatedCortical Potential)の発生の程度と,その後の動作精度に相関があることを見出した.特に,動作発生の500msec前に発生するMRCPのNS(Negative Slope)の勾配と動作時の腕の動き,さらに動作精度の3者に密接な関係があることを示した.
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