研究概要 |
無線ネットワークを介してロボットを遠隔操作し、離れた場所からの救急医療や災害時のレスキュー活動などに適用可能なシステムの実現を目指した研究を行い、次のような成果を創出した。 1.変動を含む通信遅延に対応した制御手法の構築:無線ネットワーク特有の問題である通信時間の遅延について取り組み、遅延が変動する場合にも、安定した制御を行う研究について新しい制御方法を提案した。同制御手法においては、従来、変動遅延を不確かなものとして扱っていたところを、遅延を正確に測定することで、モデルの精度を向上した。その結果、制御性能を向上することが出来た。また、同制御手法を実験装置(ロボットアーム)に実装し実験を行い、同手法の有効性を確認した。 2.建物内環境における通信遅延の特性計測:複数の無線ネットワーク装置間の通信遅延をナノ秒(10億分の1秒)単位で正確に計測する機構を開発し、通信装置間の遅延量を様々な状況下で計測した。この結果,極めて近距離にも関わらず無線ネットワークの場合、従来報告されていたインターネット上の遅延変動とは比較にならないレベルの変動遅延、データ欠損が生じることを明らかにした。 3.無線遠隔操作可能な移動ロボットの開発:災害時のレスキュー活動等の際に使用する移動型ロボットの開発を行った。本年度においては、移動機構の設計・製作、モータ制御装置の実装、バッテリおよび駆動系の実装によって、移動ロボットを製作した。また、複数の移動ロボット間の無線電波強度をロボット自身が計測し、自律的に最適な場所に移動することで通信を中継するための制御手法を構築し、実験により有効性を検証した。
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