研究概要 |
本研究では,すでに先行研究において,考案・開発した複合遊星歯車機構とそれを用いて試作された人工指を改良.発展させ,基本的にセンサレスで非常に簡単な制御で実現できるグリッピングと,把持物の巧緻的なピンチングの両方が可能な3指をもつハンドの開発を目的とする. 平成21年度においては以下の研究アイテムを実施した. ・3指をもつハンドの設計のために,手掌部に組み込まれる駆動部分のコンパクト設計を行い,部品の加工および組立を行った.その結果,サイズおよび重量の半減を実現し,ほぼ人間の手掌部に収まる程度の大きさを実現した. ・本研究で開発した複合遊星歯車を用いた指の運動学ならびに動力学解析を行った.その結果,複雑な閉リンク機構の定式化に成功し,本機構の特徴である3次限的な運動をシミュレートすることができるようになった. ・平成20年度に引き続き,2本指による物体のピンチングとハンドリングのシミュレーション解析を行った.その結果,一定のピンチング力を物体に与えつつハンドリングする場合,ある姿勢において不安定になることを確認した.この対策として適応制御で安定化させることは可能であるが,指先に柔軟性を持たせることによるハードウェアによる安定化が有効であることを確認した. ・上記のシミュレーション結果を踏まえ,柔軟性をもつ指先の設計を行った. ・2本指による物体のピンチングを行い,指面に取り付けた多点圧力により,物体の重量および質量中心の位置を推定できることを確認した.この結果から,物体の重量および重心位置に対応してハンドリング操作を調節することが可能になる.
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