研究概要 |
ハンドの基本動作は,グリッピング(1指または多指で把持物を握る動作)とピンチング(2指以上の指の指先で把持物を摘む動作)に大別できる.この2つの動作はどちらも人間型ロボットのハンドには必要不可欠の動作である. 本研究では,すでに先行研究において,考案・開発した複合遊星歯車機構とそれを用いて試作された人工指を改良.発展させ,基本的にセンサレスで非常に簡単な制御で実現できるグリッピングと,把持物の巧緻的なピンチングの両方が可能なハンドの開発を目的とした. 3年間の研究期間において以下の研究項目を実施した. ・平成19年度に開発した試作2号機の機構上の問題点を解決する構造変更をおこない,設計・製作を行った.実験による動作確認を行った. ・多点の圧力センサーを埋め込んだ柔軟指先を製作し,試作1号機2基を用いたピンチング実験を行い,対象物の重量ならびに重心位置の推定を行った. ・2指による安定した物体ハンドリングのシミュレーションを行い,制御手法を検討した. ・試作2号機の駆動系部分の再設計を行い,大幅なコンパクト化と軽量化を実現した. ・2指によるピンチング実験のためのプログラム開発を行った. ・制御システムの製作を行った. ・2指による対象物ピンチング実験を行った. ・開発しているメカニズムの動力学解析を行った. ・2指で対象物をピンチングし,さらにそれを移動,回転させる実験を行った. ・3指をもつハンドの設計を行った. 以上より,ほぼ研究計画通りの成果が得られたと考える.今後は,3指をもつハンドを完成させ,対象物の巧緻的ハンドリングを実現する.
|