近年、MEMSなどに代表される超精密加工やAFMなどの超精密計測において、ナノスケールの精度を有する「マイクロXYステージ」が必要とされている。本申請研究では、二次元にHalbach配列した永久磁石上で、複雑な制御を必要としないパッシブな状態で非接触磁気浮上する反磁性グラファイト板(PG板)を用いて、外部からの電力供給をしない(ゼロパワー)で位置決め(位置保持)が可能な、省エネルギー非接触二次元アクチュエータのマイクロ駆動に関する実験研究を行っている。平成21年度では、Halbach配列永久磁石上の磁場の改良とPG板形状の最適化により「磁気支持剛性力の向上」を図り、またアプリケーションへの適用を目的として、電磁石を用いた「マイクロ駆動の実験観測」に着手した。 1.新たな磁場を形成する二次元Halbach配列永久磁石列の製作とPG板の形状加工、および磁気支持剛性の定量観測と磁場観測 二次元Halbach配列永久磁石列上に新たな永久磁石小片を配置することにより、磁場を局所的に増大させ、PG板試料に作用する反磁性磁気力の増大を図った。これにより、改良を施す前の初期モデルに対し、最大で約200%の磁気支持剛性の向上が実現した。また、PG板試料の中央に穴を設けることで、穴の端部に作用する反磁性磁気力により磁気支持力の増大を図った。この方法でも、初期のモデルに対し約200%の磁気支持剛性の増大が実現した。 2.電磁石を用いたPG板試料の非接触変位の観測 初期モデルでは永久磁石小片を上空から近づけ、PG板試料の非接触変位を実現しているが、電磁石による磁場制御によりPG板の非接触変位を確認し、その特性計測をおこなった。
|