研究概要 |
本研究では,光学顕微鏡下の様々な形状と光学的性質を有する物質を対象に,実時間画像処理による特徴認識技術とレーザ光の照射により形成される光トラップポテンシャル場分布の実時間制御技術の融合化により,非接触で被操作対象物の3次元姿勢や位置を高精度かつ動的に制御するための基盤技術を開発することを目的とする.本年度は,以下の3項目について研究を実施した. 1.特徴認識アルゴリズムの開発:カラーCCDカメラによる顕微鏡下の実画像に対して,ハフ変換による円,楕円,直方体の検出と多値化判別閾値法による微粒子の色別の分類法を検討した.これらの方法により,液中の操作対象物が画像を取り込んだ際の位置からブラウン運動等により大きく外れない処理時間内で,珪藻,ウイスカなどのサイズと配向を実時間認識できることを確認した. 2.空間分布制御による非球状物の複数同時捕捉:非球状微小物の形状モデル化による実時間認識を利用した多点光クランプ法を提案し,時分割同期走査による多点光ピンセットと項目(1)の実時間特徴認識アルゴリズムにより,楕円状の珪藻,棒状のウイスカなど,複数個の対象物の安定した同時捕捉と位置および配向を制御した自動マイクロ操作を実証した. 3.時間分布制御による微粒子の同時移動操作:色付ポリスチレン球やガラス球などを対象に,項目(1)の認識アルゴリズムと時分割同期走査を利用して生成した孤立点型の多点光トラップ場により,指定した十数個の微粒子の安定した自動捕捉が可能なことを確認した.また,捕捉した微粒子が衝突することなく,全て同時に指定した位置に整列できる微粒子運搬アルゴリズムなどを開発し,孤立点型の多点光トラップ場の時間分布を逐次制御することで,アルゴリズムの有効性を実証した.
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