研究概要 |
本研究は,実時間画像処理による被操作対象物の特徴認識技術とレーザ光の照射により形成される光トラップポテンシャル場分布の実時間制御により,非接触で被操作対象物の3次元姿勢や位置を高精度かつ動的に制御するための基盤技術を開発することを目的とし,レーザ光を利用する非接触マイクロ操作技術の汎用化と確立を目指す.本年度得られた主な成果は以下のとおりである. 1.特徴認識アルゴリズムの開発:一般化位相コントラスト(GPC)法により粒径数ミクロンのビーズを十数個以上同時に操作するための認識・制御法として,ビーズのエッジ抽出とハブ変換により光学顕微鏡下の全微粒子の中心座標と径を実時間で同定し,その同定した微粒子径と同サイズの高輝度円状パターンを同定した位置に実時間で複数個生成するための空間光変調器(SLM)制御アルゴリズムを開発した.本アルゴリズムにより,SLMへの位相指令値に2πから0への位相折り返しが発生する場合においても,亀裂のない高輝度円状レーザ光パターンの生成が可能になり,その結果,安定した光トラップとGPC法単独での数十個のビーズの操作が実現するなど,提案するアルゴリズムの有効性を確認した. 2.時間・空間分布制御による球状物の複数同時操作・配置:ミラーによるレーザ光の走査法と,項目(1)のSLM制御アルゴリズムを採用したGPC法の2種類のマルチビーム光ピンセット法が1台のレーザ光源を用いて併用できるハイブリッド光ピンセットシステムを試作した.ミラーによるレーザ光の走査法を3次元操作用のユーザインターフェースとして使用し,GPC法を高密度微粒子アレイ作成のための静的トラップ場生成ツールとして使用することで,従来の時分割走査法やGPC法単独では実現できない,12x12サイズの微粒子アレイ作成に成功するなど,その有効性と可能性を実証した.
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