本研究では、配電系統に太陽光発電などの分散形電源が連系されたとき、出力が変動しても端子電圧に影響がでないような制御を得ることを目的としている。本年度は、1本の配電線に太陽光発電と負荷が接続された単純な系統を考えた。配電線は高圧線、柱状変圧器、低圧線、引込み線から構成されている。 1) 各線における電圧降下は4、2、3、3V以下に定められるが、すべての太陽光発電が定格出力に達すると、送り出し電圧が103Vであっても、107V以上の端子が現れる。 2) 太陽光発電の力率を1から進相0.85に変更すると、高圧線と変圧器では有効に作用する。しかし、低圧線と引き込み線ではかなりの電圧上昇が残る。これはリアクタンスと抵抗の比が小さいためである。 3) 配電線を太くすることはある程度有効である。低圧線における電圧上昇は0.47Vに抑えられる。しかし、引き込み線では1V以上電圧が上昇する。 4) 抵抗が大きいので、引き込み線の構成を変化させることはあまり有効でない。本研究ではリアクトルを直列に挿入することを提案する。必要なリアクタンスは簡単に得られる。 5) リアクタンスと抵抗の比が1.6になるよう補償することで、太陽光発電による電圧変動は完全に打ち消すことができる。ただし、負荷による電圧降下が大きくなる。 以上により、配電線のリアクタンスと抵抗の比をそろえ、太陽光発電の力率をそれに合わせれば、出力による電圧変動が抑制できることが明らかになった。
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