太陽光発電では日射量すなわち出力によってその端子電圧が変動する。端子電圧が規定の範囲を超えると進相運転に移行し、それでも逸脱が解消されないときは有効電力を制限する。したがって、発電量が予定より少なくなることがある。本研究では、発電機の出力によって端子電圧が変動しないような制御を提案するとともに、装置を試作し、その効果を実験により確認する。本年度は、装置の製作に多くの時間を費やした。その成果を以下に示す。 1)太陽電池パネル6枚を建物屋上に設置した。 2)太陽電池パネルにリチウムイオン電池を接続し、直流電圧を一定に保った。 3)その直流電圧をDC-DCコンバータによって昇圧し、インバータ出力電圧が所定の値になるようにする。 4)インバータにはフィルタを設け、配電系統と連系リアクトルを介して接続した。 5)系統電圧とインバータ電圧の同期はPLLによって行い、両者の位相差を変えることにより出力を調整する。 6)引込線のインピーダンスはほとんどが抵抗であって電圧の制御ができないので、直列にリアクトルを挿入した。 7)端子電圧を入力としてインバータ電圧を制御し、力率一定運転および電圧一定運転が行えるようにした。 8)発電機の出力によって電圧が変動しないように力率を保つことは何もしないことではなく、有効電力に応じて無効電力を変えることであって、インバータ電圧の調整が必要になる。 9)運転する力率が低いと、電線における損失が大きくなるので必ずしも有効でない。したがって、平常時は力率を1に保ち、電圧が逸脱したときに電圧を上限値に保つ制御のほうが望ましい。 以上の成果をふまえて、今後は実験により制御の効果を確認していく。
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