研究概要 |
本研究の目的は,DC-DCコンバータ等を主とする電源回路の設計精度を向上させるための高精度磁気デバイスモデルを開発することである。研究期間の初年度にあたる平成20年度の研究実績をまとめると以下のようになる。(1)フェライトの高周波磁化特性を測定するために必要となる,数百kHz程度までの方形波電圧波形をフェライトコアの巻線に印加できる電圧発生装置を製作した。(2)フェライトコアの磁化特性を測定するための計測システムを構築した。高周波電流計測用シャント抵抗の内部インピーダンスの補償方法を確率し,また,測定器電源をコアの励磁電源から絶縁した。(3)pc40フェライトコアの動的磁気損失パラメ一タを磁束密度の時間微分dB/dtの関数として定量的に求め,その非線形磁化特性を明らかにした。また,磁気飽和および磁気ヒステリシスに起因する磁化特性に関しては,正規分布関数を適用した独自モデルを開発した。(4)フェライトの高周波非線形磁化特性ならびに誘電特性を盛り込んだ回路網モデルを開発した。フェライトコアの電磁界解析モデルとしてインダクタンス,コンデンサおよび抵抗からなる回路網モデルを開発し,インダクタンスおよびこれと並列接続された各抵抗を非線形素子と考え,回路定数の電圧・電流依存性を盛り込んだ。(5)コアの電磁界解析を履行する非線形回路網モデルの段階的検証として,線形回路網モデルによるシミュレーション結果と実験および有限要素法による結果との比較を行い,良好な結果を得た。この成果を電気学会論文誌において英文レターとして発表した。
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