研究概要 |
本研究の目的は,DC-DCコンバータ等を主とする電源回路の設計精度を向上させるための高精度磁気デバイスモデルを開発することである。研究期間の2年目にあたる平成21年度の研究実績をまとめると以下のようになる。 (1)前年度に開発したフェライトコアの電磁界解析を実現する回路網モデルに動的磁気損失パラメータを磁束密度の時間微分dB/dtの関数として導入し,非線形磁化特性を考慮したコアの電磁界解析を行い,実験値との比較によりその有効性を明らかにした。ここでは,フェライトの低周波励磁における磁気飽和を含めた磁気ヒステリシス特性およびMn-Znフェライトの有する誘電特性を盛り込んだ回路網モデルとした。解析結果から,フェライトコアの磁路断面において磁界の濃淡が現れ,例えば磁路断面中心部がその周辺に対して磁界濃度が強くなるモードがあることが分かった。 (2)上記(1)の内容を論文としてまとめ,日本磁気学会に投稿した。 (3)DC/DCコンバータの一つであるハイブリッド型DC/DCコンバータ(フォワードコンバータとフライバックコンバータの複合回路)に適用される四脚フェライトコアの磁束責務解析を行い,この磁気デバイスの回路モデルを提案した。この回路モデルによりこの磁気デバイスの最適設計法を導出した。 (4)上記(3)の成果を基にして,低リプル出力のハイブリッド型DC/DCコンバータに求められる磁気デバイスの要件を明らかにした。また,コンバータの実機を試作してその要件の実験検証を行い,解析結果の妥当性を明らかにした。 (5)上記(4)の内容を論文としてまとめ,日本磁気学会に投稿した。
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