研究概要 |
平成22年度は超高速スイッチング形電力変換器の新トポロジーについてこれまで得られたものを比較評価し,その利害得失について取りまとめた。また,スイッチング素子の高速駆動回路については,プロトタイプによる実験を通じた運転特性の評価検討を行った。その結果,以下の研究成果が得られた。 (a) 超高速スイッチング形電力変換器の新トポロジーに関する比較評価 過去に報告されている電流形電力変換器と本研究課題で考案したフィッシュボーン構造の比較評価を行い,トランジスタ素子数ダイオード素子数,絶縁ゲートドライブ回路数,絶縁DC電流源数,平滑リアクトル数,中間電流レベル用インダクタ数などの観点から利害得失を取りまとめた、また,それぞれの電力変換器において主回路構成の特徴を多角的に比較した. (b) 次世代超高速スイッチング素子の駆動回路に関する検討 インダクタインパルス重畳方式によるMOSFETのゲート駆動回路と,マルチコア方式ゲート電源回路とを組み合せて,より大きなdv/dtでMOSFETを駆動すると同時に,それによって発生したコモンモードノイズ電流を低減する回路を試作し,実験的に動作特性を確認した。 (c) Sic-MOSFETサンプル品の評価 Sic(シリコンカーバイド)を基材とするMOSFETサンプル品を入手し,その基本的な動作特性を実験的に検証した.耐圧と電流密度についてはほぼ開発目標を満足することができたが,ゲート閾値の温度特性に関する問題などが残されている。
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