研究概要 |
ディスク型超伝導限流器の小型器を試作し,その過電流通電時における限流器の発生インピーダンス特性を明らかにし,電磁界解析および回路論的考察を加えた。実験に用いた限流器は,銅線を渦巻状に14ターン巻いた1次巻線とBi2223の超伝導円板をFRP製のスペーサを介して重ねた構造である。過電流通電試験において,電流および電圧の波高値および位相差から発生インダクタンスを算出した。その結果,通電電流が40A_<peak>以下では超伝導状態であり,40A_<peak>以上となるとインダクタンスは増加し始め,最大で8.68μHとなることが分かった。次に,通電試験を行った限流器をモデル化し,有限要素法により磁気エネルギーを算出する方法で超伝導体の抵抗率と発生インダクタンスとの関係を数値解析的に求めた。その結果は実測結果,リアクタンスの最小値および最大値に関して実測値と一致することが分かった。さらに,過電流通電時における超伝導円板の発生抵抗を推定する手法を考案した。その結果,平均の抵抗率が7×10^<-10>Ω・mを超えるとインダクタンスが発生し始め,9×10^<-9>Ω・mにおいてほぼ最大のインダクタンスが発生することが明らかになり,本方式の限流器の設計指針が得られた。 また,分散型電源を有する需要家の系統連系線に限流器を導入した場合を想定し,限流器の導入効果をシミュレーションにより確認した。これにより,瞬時電圧低下対策機器としても限流器が有効であることを明らかにできた。
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