研究概要 |
最近では,低圧直流による電力伝送は,近年多くの設備で利用されている.たとえば,直流システムは,電話通信ビルおよびインターネットデータセンターにおいて,さらには,需要家における太陽電池などの自家発電設備,2次電池などの電力貯蔵設備においても,実施されている.本研究の目的は,低圧直流システムについて,限流機能を具備したパワー半導体デバイス型遮断器の仕様を提示し,また各半導体種における得失を明らかにすることである.これらのシステムに適合できるパワー半導体デバイス型遮断器を目標とする. 現在の金属接点駆動型遮断器では,・大電流アーク遮断の繰り返しによる使用回数限度がある,・遮断時間が遅く,その結果,瞬低時間が長い,・寸法が大きい,・高温ガスを噴出するという欠点がある.本研究で検討する遮断器においては,遮断時間を制御できる,接点部のような損耗部がない,アークの繰り返し点弧による使用回数限度から解放されるという特徴がある. 今年度では,オンオフ制御型デバイスであるIGBTに着手した。同素子の導通・非導通特性を考慮して,IGBT型固体遮断器の構成回路,すなわち限流機構部および制御部の回路構成を考案した.次いで,試作器を作成し,同機器が,モデル直流システムにおいて,直流電流を,限流,転流し,遮断できることを実証した。さらに,遮断すべき直流電流が10Aから80Aに増加しても,遮断時間を所定値にコントロールできることを示すことができた。
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