プラズマアブレーションにより固体から発生したガスを原料ガスとして材料プロセスへ応用することを研究目的として、以下のことを行った。 アブレーション用パルスプラズマ装置として電熱加熱型パルスプラズマ推進機、固体原料としてテフロン(PTFE)を用いてパルスプラズマを生成し、各種電極材料(Al、Cu、C)を用いた場合のパルスプラズマの電気的測定および発光分光測定を行った。パルスプラズマの電気特性および発光特性は電極材料に強く依存しなかった。電気測定より推定した電子密度は10^<21>m^<-3>オーダーの高密度であること、ならびに発光分光測定より炭素とフッ素が昇華により高い生成率で生成されることが明らかになった。次に、材料プロセスの基礎実験としてシリコン基板をプラズマ曝露した結果、基板表面に褐色の薄膜が形成されることがわかった。10000~15000ショットのプラズマ曝露で、厚さが1.5~8.0μm、硬度が2~8GPaのフッ素含有のアモルファスカーボン膜が形成された。 さらに、PTFEのアブレーションにより発生したガスと組成が類似と考えられるフルオロカーボン系ガス(C_4F_8やCF_4)とArガスを含む誘導性結合型プラズマ中へ酸素を混入し、酸素混入がプラズマ組成へ及ぼす影響について検討した。その結果、プラズマ中のC_2密度やCF_2密度は酸素混入率に強く依存するが、Ar/CF_4/O_2プラズマ中のC_2密度やCF_2密度はAr/C_4F_8/O_2プラズマ中に比べ一桁低いことが明らかになった。また、Ar/C_4F_8/O_2プラズマ中では、低酸素混入の場合、容器壁や基板にCF系の重合膜が形成されており、酸素混入率に膜形成が強く依存していた。
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