研究課題
本年度は、数kW級の高温超伝導誘導/同期機(High Temperature Superconductor Induction/Synchronous Machine: HTS-ISM)を試作し、その特性を解析的かつ実験的に検討した。まず、市販のビスマス系高温超伝導テープ材をかご型2次巻線に適用したHTS-ISMについて、その微小なすべりを精密に計測した。その結果、液体窒素大気圧沸点(77 K)、駆動周波数60 Hzにおいて、すべりが無負荷で0.00001程度、負荷回転状態でも0.0001程度のオーダーであることが分かった。また、このすべり値は駆動周波数が小さくなるほど大きくなることを明確化した。さらには、非線形等価回路解析によって、上記すべりの原因が、ロータバーとエンドリングのバンダ接続抵抗に起因することを突き止めた。上記微小すべり、およびHTSテープ材の非線形電流輸送特性を考慮した特性解析コードを開発し、無負荷回転特性について、実験結果を定量的に再現できるコード開発に成功した。また、回転子巻線については、HTS巻線が常伝導転移してもすべり回転状態を維持できる超伝導/常伝導ハイブリッド2重かご形巻線構造を提案し、論文発表した。一方、固定子巻線の超伝導化についても、ビスマス系高温超伝導レーストラックコイルをベースとした3相2極構成について試作を完了した。即ち、上記HTS固定子巻線とHTSかご型2次巻線を組み合わせることにより、全超伝導HTS-ISMが完成することになり、現在鋭意試験準備を進めているところである。全超伝導かご型HTS-ISMが完成すれば、特に低速回転時におけるエネルギー変換効率が改善されると大いに期待される。
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Proceedings of the 18th International Conference on Electrical Machines (6th-9th September 2008, Vilamoura
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