H21年度は、主として高温超伝導誘導同期機の発電特性の実証と.全超伝導化に関する検討を実施した。まず、H20年度に試作完了した高温超伝導誘導同期機(かご型回転子巻線のみ高温超伝導化し、固定子巻線には銅線を使用)を用い、市販のPWMインバータを使用して異なる周波数に対する発電試験に成功した。次に、全超伝導機の開発を指向し、ポリイミド絶縁ビスマス系高温超伝導レーストラックダブルパンケーキコイルを試作するとともに、空芯ならびに鉄心内における臨界電流特性を液体窒素中で測定した。その結果、鉄心内におけるコイルの臨界電流について、所謂エッジワイズ巻(線材幅広面を回転子周方向に平行に配置)では臨界電流が殆ど変化しないが、本研究で対象としているフラットワイズ巻(幅広面を周方向に垂直に配置)では5~10%程度低下することが分かった。また、その結果について、所謂鏡像効果に伴う臨界電流特性の磁界依存性と考えられることを、電磁界解析をベースに示した。さらに、ビスマス系高温超伝導線材を適用した全超伝導機を試作し、線材許容曲げ歪特性の制約から十分な固定子電流容量を得られずに定常回転には至らなかったものの、数秒の回転を確認することができ、即ち研究代表者らが提案している固定子巻線法の妥当性を検証することができた。H22年度には、本年度見出された課題を解決し、定常回転可能なモデル機を試作・試験する予定である。さらには、DSPを利用した可変速回転制御コードの開発と回転制御試験に成功した。最後に、大型発電機設計のための予備概略設計検討を実施した。
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