研究概要 |
本年度は,昨年度までに開発した充電エネルギーの大きな大規模モデル試験装置と衝撃波圧力の光学的計測装置を用いて,海水中におけるパルスアーク放電の放電基礎特性の解明と衝撃波の伝搬特性や圧力分布特性の解明に必要な実験を行った。その具体的内容や成果は次の通りである。 1.昨年度に引き続き,充電電圧,放電ギャップ長,海水導電率,電極種類,パルス波形(減衰性振動波,単発波)などの放電条件を変えながら,海水中における放電電流,放電電圧,及び放電エネルギーなどのパルスアーク放電の基礎特性を明らかにした。得られた結果は昨年度とほぼ同じであった。 2.本年度は実際に殺菌が行なわれる海水中における衝撃波の伝播速度や圧力変化を実測した。昨年度と同じ手法を用いて,3mm間隔で平行に調整されたHe-Neレーザビームをチェンバ内に通過させ,電極間のパルスアーク放電で発生した衝撃波がそれらの2本のビームを通過する時間間隔から,衝撃波の伝播速度や圧力変化を実測した。海水中で得られた結果を水道水中における結果と比較検討した結果,両者の結果にはほとんど違いが認められないことが分かった。 3.流水中における衝撃波分布特性の実測を行なった結果,電極の上流側と下流側で分布特性に顕著な違いは認められなかった。しかし,電極の上流側と下流側では時間差を正常に測定できる電極中心からの距離が異なっていることが分かった。これは,漏れ電流で溶液中に生じたジュール熱の影響と思われる。 以上,本年度は海水中や流水中など,実際の使用状況に近い条件で衝撃波の分布特性を明らかにした。さらに,本研究期間3年間で得られた研究成果を総括し,報告書としてまとめた。
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