研究概要 |
本年度は、研究の最終年度であるため、前年度より確立した電磁界熱連成解析手法を応用し、ノイズ抑制シートの発熱による特性変化に関する研究を行った。すなわち、この具体的背景として、ノイズ抑制シートは動作中の発熱したLSI等の近傍で用いられるが、このような温度条件でノイズ抑制シートによるノイズ抑制効果を評価、検討は行なわれていない。そこで、本検討では、温度変化に対するノイズ抑制シートの抑制効果を、伝送減衰率に着目して評価する方法について検討した。 その方法としては、まずIEC62333に準拠したノイズ抑制評価用基板と高熱伝導性材料、アルミ板、ペルチェ素子で構成された評価用基板を用意し、これにノイズ抑制シートを付加した場合と付加しない場合について、その温度を20℃から80℃まで変化させた場合の伝送特性をネットワークアナライザにて測定した。 この結果、まずシートを付加しない場合については、測定した温度範囲である20℃から80℃までにおいては、一般的な放射規制周波数である3MHzから6GHzまで伝送特性に変動が発生しないことが確認されたものの、シートを付加した場合については、温度変化によって伝送特性が2GHzで最大6dB生ずることが分かった。 以上によって、伝送線路にノイズ抑制シートを付加し、その温度上昇が生ずる場合の伝送特性変化を定量的に明らかに出来た。以下に具体的な成果を述べる。 土屋明久・菅間秀晃・日高直美(神奈川県産技)・宮本和哉・辻野真吾・橋本修(青学大):"マイクロ波帯で用いられるノイズ抑制シートの温度変化に対する伝送減衰率の評価方法"電子情報通信学会ソサイエティ大会(通信講演論文集1)C-2-76,p.112(2010-9-16)(大阪、大阪府立大学).
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