研究概要 |
超伝導コイルの冷却に冷凍機を使えば,面倒な極低温液体の取り扱いから解放されるため,冷凍機冷却型の超伝導コイルの使用が広まってきている。このような冷凍機冷却型の超伝導コイルは冷媒がなく,真空断熱容器の中で冷凍機のコールドヘッドと超伝導コイルを固体でつないでコイルを冷やしている。そのため,熱伝導率の高い固体を使えば,コイルを効率よく冷却できる。現在は,この固体として窒化アルミが一般的に用いられている。しかし,窒化アルミの問題点は硬くてもろいことである。研究現場からの声として,現場にて再加工が容易な代替材料が望まれている。その材料として高熱伝導なプラスチックであるDFRP(Dyneema Fiber Reinforced Plastic)を提案し,実証するのが本研究の目的である。 今年度は,ダイニーマ繊維の含有率が異なるDFRPパイプを用いて安定性試験を実施した。含有率が高いパイプは,繊維の巻角度が大きいため,極低温への冷却過程で膨張する。この特性のため,安定性が向上した。 また,コンピュータシミュレーションとして,コイルをモデル化して有限要素法による伝熱解析を行った。 これらの成果は,国内の電気学会,海外の超伝導磁石会議(International Conference of Magnet Technology,中国の合肥)にて公表した。
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