研究概要 |
本研究は,「△Σ変調を用いた直列共振型ゼロ電流スイッチングDC/DCコンバータ」の作成を目的とする。主な研究項目は,1)Matlab Simulinkを用いたシミュレーション,2)FPGAを用いた△Σコントローラの作成,3)主回路の作成と△Σコントローラとの組み合わせ,4)動作特性試験,であり,本年度は1)-3)を重点的に実施した。 1)Matlab Simulinkを用いたシミュレーション コンデンサインプット型の全波整流器を接続して,主回路と△Σ変調器の基本動作を確認した。本年度は,「△Σコントローラの指示電圧目標値と主回路の出力電圧の関係」,「△Σコントローラ内のフィードバックゲインと出力電圧の関係」をシミュレーションにより導き,市販ICを用いた回路実験結果との比較に用いた。 2)FPGAを用いた△Σコントローラの作成 △Σ変調はアナログ回路を含む構成であり,FPGAを使用する場合,完全なディジタル回路に置き換える必要が生じる。本年度は,これが最初の課題となり△Σコントローラの作成を開始した。目標電圧を数値入力し,加算,減算,積分,帰還,出力の各構成要素をディジタル化し,ブロックとして構成するに至った。 統合時の安定動作を確保するため,クロックのタイミング調整に引続き取組む。 3)主回路の作成と△Σコントローラとの組み合わせ 市販の△Σ変換IC評価基板,PCM4202EVMを用いて主回路を駆動し,回路実験を行った。アナログ電圧信号として与えた目標値の変化に伴い,直流出力電圧が,ほぼ比例する特性が確認された。この際,周波数領域にて観測された出力電圧波形には,周期的な低周波雑音は顕著に現れず,雑音低減効果が示された。
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