高構造物における雷撃時の発生サージの大きさや、時間変化を求めることを可能にする数値電磁界解析法を構築し、世界一の高さとなる放送タワーである東京スカイタワー、および現東京タワーの雷サージ特性を明らかにする。本年度は、解析計算環境を整えるためにワークステーションとCAD機能を備えたFDTD法のソフトを整備した。これによって、新旧両東京タワーの計算モデルを作成した。解析では、これまでの送電線鉄塔で使用される塔頂電圧の評価法と同じ方法で雷サージ電圧を算出することを検討した。 また、解析モデル作成と並行して実験室で計測ができるように、縮小モデルの作成を進めた。外形について建設タワーに類似したモデルを作成し、実験を行い、送電線鉄塔の場合と同じく、接地線を張り、塔頂電圧を測定した。これをモーメント法解析結果と比較したところ、おおよそ一致する結果が得られた。ただし、モデルが大まかなため、10%以上の差異が見られた。タワー構造に起因するサージ電圧の波形は、解析および実験はほぼ一致する。 高構造物における過電圧発生の評価では、塔頂電圧ではなく建物内の電圧を評価すべきである。そのために電力線に誘導する電圧を考える方法について検討を開始した。計算機解析と縮小モデルの実験と合わせて、避雷器や電気電子機器への影響を適切に評価できるようにする。このため、変圧器の数値電磁界解析モデルおよび配線の撚り線モデルについても検討し、タワーモデルに取り入れた。
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