研究概要 |
本研究は電力変換器すなわちパワーエレクトロニクス(PE)システムのシミュレーションを高精度・高効率に実施するための手法の開発を目的とした。同システムのシミュレーションはモデリング過程およびシミュレーション計算過程の2つにより構成されるため、上記目的を達するためには両過程において高精度高効率な処理法が必要である。そのため本年度は前年度までに開発したシミュレーション法の再吟味を行うとともにモデリングおよびシミュレーション法の適用範囲の拡張を行い、さらに実験的検証をも含めた成果のまとめを行って、下記のような結果を得た。まずマルチレートシミュレーション法を開発した。すでに開発したマルチレート解析のプログラムをマルチドメイン分割が可能な手法として発展させることができ、実験的にも検証することができた。また回路分割法や周期定常解析法の並列処理化による高速化を行うことができた。さらに高精度・高効率な低次元モデリング法の開発を行った。測定された回路システムや素子の周波数特性に基づく集中定数等価回路合成手法を開発することができた。これは測定によるPEシステムのモデリングを行い、測定データに基づくPEシステムのモデリング法に関して、その適用範囲を拡大することができた。最後に実験システムによる検証を行った。例えば誘導機駆動等のPE制御システムに関しても検証を行ない、その妥当性を確認することができた。以上の研究成果は、電気学会の論文誌における公表や産業応用部門大会・研究会・電気関係学会関西連合大会における講演、さらには米国電気電子学会(IEEE)の国際会議(IPEC, ECCE, COMPEL)にて公表している。
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