大気中の電力機器の外部電気絶縁耐力に与える炭酸ガス(地球温暖化ガス)濃度効果を検討するのが研究目的である。 CO2ガスの大気中濃度が約400ppmと微量であるので、そのガス効果を鮮明にするため、不純物の混入の少ないオイルレス高真空排気ユニット(平成20年度購入済み)を用いた放電容器した。 実験は、室空気と合成空気(N2/O2混合ガス)に0〜20000ppm (2%)の濃度範囲のCO2ガスを混入し、特別高圧領域の棒対平板ギャップ(ギャップ長6.25cm)の正極性直流火花破壊特性を先ず測定した。その結果、次のことが明らかになった。 (1)室空気の炭酸ガス濃度が約2400ppmへ上昇すると、電気絶縁耐力が極端に低下し、半減する。その主な理由は、CO2ガスは分岐の少ない正ストリーマの進展を促進し、コロナ安定化作用を著しく低下させる。 (2)さらに、ストリーマとリーダの中間的なギャップを横切る線状の放電チャネルが出現する。これはCO2濃度を高めた火花破壊時に出現する放電発光過程の特徴である。 また、直流の火花破壊過程の典型はコロナ放電からの破壊ストリーマの発生である。このストリーマの発生が火花破壊を決定するにも係わらず、その物理現象は明らかにされていない。そこで、火花破壊直前のコロナ放電発光を分光診断し、気体温度、イオン温度、振動温度の計測を試みた。
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